閏年は逆うちのご利益が6倍?!
   
  

  今年は4年に一度の閏年です。閏年に逆うちすると、ご利益が6倍と言われてるのは何故でしょうか?

  天長年間の頃、伊予国(現在の愛媛県)に「衛門三郎(えもん さぶろう)」という豪農がおりました。 裕福ですが、強欲で思いやりの気持ちもなく、村の者にはつらく当たり、人望も薄いお人でした。

  ある日、三郎の門前に、みすぼらしい身なりの僧が現れて、托鉢の修行を行いました。翌日も、その翌日も幾度も僧は現れました。 でもその度、欲深な三郎は冷たく僧を追い返したのでした。 更に翌日の8日目、今日も托鉢の修行にやってきた僧を三郎は竹箒で叩き、その箒が僧のもっていた鉢にあたり、八つに割れてしまいました。八つの欠片は光を放ちながら空高く舞い上がり南の山すそに飛んでいき、僧の姿も消えてしまいました。 実は、この僧こそが、弘法大師だったのです。 

  衛門三郎には5男3女の子供がおりましたが、弘法大師を叩いた翌日、長男が急に病気になり亡くなってしまいました。その翌日にも一人亡くなり、その翌日にもまた一人亡くなり、八日の間に8人の子供が皆亡くなってしまったのです。

  これにはさすがの衛門三郎も悲しみに打ちひしがれ、毎日毎日泣き暮らしておりました。ある日、悲しみに沈む三郎の枕元に弘法大師が現れ、三郎は初めてあの僧がお大師さまだったと気が付き、自分がしてしまった罰当たりな行いを悔やんだのでした。 そしてお大師さまに許しを乞うため、田畑を売り妻とも別れ、白衣を身にまとい、手には手甲、足には脚絆、頭には笠、右手に金剛杖を持って、弘法大師を追いかける旅に出たのでした。 これがお遍路さんの始まりと言われています。

  それから8年、三郎は四国の寺院を20回巡りましたが、いくら追いかけてもお大師さまに会うことが出来ません。832年(閏年)、徳島の切幡寺から逆に巡るとお大師さまに会えると思い逆回りを始めました。 しかし、焼山寺(徳島)近くの杖杉庵で三郎は病に倒れてしまいました。 

  ある日、最期が近づく三郎の前にお大師さまが現れ、三郎は自分の非礼を泣いて詫び許しを乞いました。お大師さまより今までの罪を許され、最期の願いを尋ねられた三郎は、できることなら故郷の伊予国主河野家に生まれ変わりたいと願い、お大師さまが小石に「衛門三郎」と書き、そっと手に握らせると、衛門三郎は息をひきとりました。

  その後、伊予領主河野伊予守左右衛門介越智息利に男の子(息方君)が誕生しましたが、その子の片手が開きません。神仏に祈願してようやく手を開けたところ、小さな玉の石が握られていて、 そこには「衛門三郎」と刻まれていました。 息方君は、後に伊予国の領主となってからは、善政を施して偉大な功績を残したといわれています。

  このことから逆打ちは「生まれ変われる」とか「死者に会える」ともいわれ、ご利益も順打ちの2倍と言われています。

  さらに、衛門三郎が弘法大師に逢えた年が閏年だったことから、閏年に巡礼をすると3倍ご利益があると言われています。ですので、閏年に逆うちすると3倍×2倍で6倍のご利益があるということで、閏年の今年は4年に一度の年。しかも、衛門三郎がお大師さまに出逢えた閏年は申年だというので、申年の閏年の今年は、いつに増してご利益がありそうな気がしますね。