四国八十八箇所霊場の第二十一番札所は、太龍寺。徳島県阿南市加茂谷龍山にある、本尊が虚空蔵菩薩の真言宗の寺院です。 二十番札所から約6.5kmのところにあります。
「西の高野」とよばれる太龍寺は、標高約602mの山頂にあり、「一に焼山、二にお鶴、三に太龍」と言われる阿波の難所の一つ。
延暦11年、弘法大師19歳の時。ある沙門(※1)から「虚空蔵求聞持法(※2)」を伝授され、舎心嶽という岩の上で、百日間、虚空蔵求聞持法
を修法なされたことはよく知られています。このことは、弘法大師24歳での著作「三教指帰(さんごうしいき)」にも記されています。大師は20歳くらいまで、四国の山地をめぐり、辛苦を耐え忍び、厳しく自分を鍛えられました。
太龍寺への山道は、鶴林寺よりもさらに険しく、巡礼者にとっては屈指の難所であったはず。平成4年にロープウェイが開通し、自動車で起点までいけるようになりました。この西日本一(2775m)といわれるロープウェイから山々を見渡しながらの約10分ほどの空の旅も、また一興。
樹齢数百年の老杉たちが迎えてくれる古刹(※3)で、1200年の歴史を、是非感じてみてください。
※1:沙門(しゃもん・さもん)・・・僧となって仏法を修める人。
※2:虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)・・・
記憶力増進を祈念する修法で、真言を百万遍となえる
と一切の教法の文義をすべて暗記することができると
いう、難行とされる修法のこと。
※3:古刹(こさつ)・・・由緒ある古い寺。
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