四国八十八箇所霊場の第二十番札所は、鶴林寺。徳島県勝浦郡勝浦町生名鷲ヶ尾にある、本尊が地蔵菩薩の真言宗の寺院です。 十九番札所から約15.7kmのところにあります。
「お鶴さん」とよばれる鶴林寺は、標高約570mの山頂にあり、「一に焼山、二にお鶴、三に太龍」と言われる阿波の難所の一つ。表参道は「胸つき八丁」の急傾斜の山道が続き、岩石がゴロゴロある道幅の狭い「けんま道」では、男性1時間、女性1時間半はたっぷりかかるようです。 昭和27年に刑務所を脱走した囚人が、境内に身をひそめようと山麓までたどり着き、山道をのぼりだしたが、あまりの険しさとわびしさに耐え切れなくなり、刑務所に戻ったそうです。 裏山道は表参道よりは距離が短いですが急な坂道で、現在は不通になっています。 近年になり自動車道ができたので、現在は車で10分たらず。
寺伝によれば、延暦17年(798年)に桓武天皇の勅願によって弘法大師が開創し、真然僧正が七堂伽藍(※1)を完成されたそうです。
この寺で修行していた弘法大師は、黄金の地蔵菩薩が老杉のこずえに降臨し、それを2羽の白鶴が翼をかざして護っているのを発見され、歓喜した大師は直ちに1mほどの地蔵菩薩を彫刻し、5.5cmほどの黄金像をその胎内に納め本尊とされ安置され、鶴林寺と寺名を定められました。山号の「霊鷲山」は、境内の雰囲気が釈迦が説法をした霊鷲山(りょうじゅせん)に似ていることから頂いたそうです。 平城、嵯峨、淳和帝などの皇室の尊信もあつく、源頼朝、義経、三好長治、蜂須賀家政などの武将からの信仰も受けていたようです。境内には重要文化財や重要美術品などの寺宝も、往古のままのすがたをとどめています。 参籠(さんろう)などさせて頂き、住職さんの明快な法話を是非拝聴したいものですね。
※1:七堂伽藍(しちどうがらん)は寺の主要な七つの建物を
いい、一般には、塔・金堂(こんどう)・講堂・鐘楼・経蔵・
僧房・食堂(じきどう)をいう。 |