四国八十八 札所のご紹介【第17番】
   
  

  四国八十八箇所霊場の第十七番札所は、井戸寺。徳島県徳島市国府町井戸にある、本尊が七仏薬師如来の真言宗の寺院です。十六番札所から約2.9kmのところにあります。 

 天武天皇の勅願道場であったこの寺は、白鳳2年(674)に開基され、当時は「妙照寺」と呼ばれ、八町四方の広大な境内と十二坊を有する大寺でした。

 本尊の七仏薬師如来の坐像は聖徳太子の作、脇仏の日光・月光菩薩像は行基菩薩の彫造と伝えられています。

 弘仁6年(815年)に弘法大師がこの地にとどまり、ご本尊を拝して修行され、2mほどの左手に蓮華を挿した水瓶をもった姿形の十一面観世音菩薩を刻まれて安置されたそうです。カヤ材の一木造りの像は、柔和な中にも力強い顔立ちをされ、太子の刻まれた意味を十分に伝えているようです。歴史家は平安初期の制作で、衣文さばきなどすばらしく、地方の仏像としては最優秀作と賞賛してる像です。

 また、この地方の水が悪いのを憂いて、錫杖で井戸を掘られたら、こんこんと湧き出た清水に太子のお姿が写され、そこでご自身の姿を石に刻まれたそうです。「面影の井戸(※1)」も「井戸寺」のいわれも、ここに由来するそうです。この面影の井戸のを知っていると、覗く時ちょっとドキドキしそうですね。

 貞治元年(1362年)細川頼之の兵乱で焼失、その子詮春が再建するも、天正11年(1583)三好存保・長宗我部元親の戦で焼失、万治4年(1661年)蜂須賀家五代の光隆が建立しましたが、近年本堂が焼失、後に荘厳な本堂が再建されるとともに、従来の諸仏が造顕されました。

 

 

 

 

※1:面影の井戸・・・水をのぞいて姿が映れば無病息災であるが、映らない場合は3年以内に不幸があるという





 
めぐりやすい八十八ヶ所 四国へんろ
(出版社:満願寺教化部刊)
より引用させて頂いております。

     
     
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