四国八十八箇所霊場の第七番札所は、十楽寺(じゅうらくじ)。徳島県阿波市土成町高尾法教田にある、本尊が阿弥陀如来の寺院です。六番札所から約1.2Kmのところにあります。
この地に留錫(りゅうしゃく ※1)された弘法大師さまが、阿弥陀如来を感得(※2)し、樟の木をご本尊として刻まれ、安置したのがはじまりだそうです。
※1・・・錫杖を留める意味から、僧が行脚中に一時、他の
寺院に滞在することをいう。
※2・・・深い道理などをはっきりと感じ、悟ることをいう。
十楽寺の「十楽」との名前は、人間の八つの苦難↓
・
生(生まれることの苦)
・
老(老いることの苦)
・
病(病気になることの苦) ・
死(死ぬことの苦)
・
愛別離(あいべつり=愛する人との別れの時を迎える苦)
・
怨憎会(おんぞうえ=憎むべく人間に出会うことの苦)
・
求不得(ぐふとく=求めても得られない苦)
・
五陰盛(ごおんじょう=人間の持つ本能的欲求の苦)
から離れ、十の光明に輝く楽しみ(極楽浄土に往生する生が受ける十の快楽)が得られるようにという願いを込めて弘法大師さまが命名したそうです。
当初は現在地から3km離れた十楽谷の奥の堂ケ原という地に広大な伽藍を擁していましたが、天正年間の長宗我部元親(ちょうそかべ もとちか)の兵火により全てを焼失しました。
当時の住職であった真然は本尊を背負い、大門ケ原の小屋に仮安置し、弟子には経本を背負わせて避難させましたが、その途中で矢に射られた弟子は、経本を置いたまま逃がれたので経本も焼失し、現在その跡が経塚として残っています。
寛永12年に現在の場所に再建されました。
竜宮城のような美しい朱ぬりの鐘楼門が印象的な寺院です。
|